2012年3月 救われた命–グラフィス診療所と日本の救急車の活躍

救われた命–グラフィス診療所と日本の救急車の活躍 パート3 2012年3月Chan san and a girl 3月16日から23日までのグラフィス・カンボジア・スタディーツアーでは、幾度も感動的な場面がありました。その中で最も感動的だったのは、2010年に滝から転落して瀕死の重傷を負ったものの、グラフィス診療所での応急手当と、首都の国立病院への日本の救急車での搬送によって命が助かったご婦人(チャンさん)を訪問したことでした。

それまで私(佐々木)はカンボジアに行く度に、リハビリ中の彼女のお見舞に行っていましたが、今回、学生たちも一緒に行くことができました。チャンさんは、私達の目の前で、歩行杖を使って、ゆっくりと歩き終わると、私と抱き合って泣き出しました。みんなも泣いていました。

チャンさんとご家族は、もしも診療所や救急車がなかったら、彼女はここにいなかったと語り、グラフィスとSBSIの両方に感謝していること、今回、みんなでこうして来てくれたことは、大きな励みであることを話してくれました。

チャンさんは、英語やフランス語も堪能で、若い頃に気に入って覚えたという日本の流行歌まで歌ってくれたのです。
 しかし、励まされたのは私達も同じです。リハビリに懸命に努力する彼女の姿が、みんなの人生に影響を与えたのは間違いありません。彼女についてのSBSIのHPでの最初の記事は下をクリック。

click

東日本大震災から1年を迎えてのSBSIからのご挨拶

東北大震災から1年  

サイド・バイ・サイド・インターナショナルからのご挨拶 

 2012年3月11日

kesennuma suisen東日本大震災から、ちょうど一年。
被災された皆さまに改めてお見舞を申し上げます。
物資輸送などでお会いした各地の被災地の皆さまの顔が
目に浮かびます。
未曾有の大災害の影響は、筆舌に尽くしがたいものがあり、
大切な人を失い、家や財産、
当たり前の日常生活さえ失った皆さまのご苦労は、今も続き、
遠く離れた所にいた私達の想像をはるかに超えています。
困難な状況にもかかわらず、懸命に、互いに助け合いながら、
ひたすら前向きに歩もうと努力してこられた皆さまの姿に
涙を禁じ得ません。
最後に、世界中の大勢の人が感動した、
気仙沼市立階上中学校の梶原裕太君の卒業生答辞から
引用させていただきます。

「・・・自然の猛威の前には、人間の力はあまりにも無力で、
わたくしたちから大切なものを、容赦なく奪っていきました。
天が与えた試練というには、むごすぎるものでした。
辛くて、悔しくてたまりません。

時計の針は、十四時四十六分を指したままです。
でも、時は確実に流れています。
生かされた者として、顔を上げ、常に思いやりの心を持ち、
強く、正しく、たくましく生きていかなければなりません。

命の重さを知るには、大きすぎる代償でした。
しかし、苦境にあっても、天を恨まず、運命に耐え、
助け合って生きていく事が、これからの、わたくしたちの使命です。

わたくしたちは今、
それぞれの新しい人生の一歩を踏み出します。どこにいても、
何をしていようとも、
この地で、仲間と共有した時を忘れず、宝物として生きていきます。」
 皆さまの復興への強い願いを思い、真の復興をお祈りしております。
また、そのために、微力ながらも、皆さまのこれからのために、
私達にできることを続けていきます。
これまでのSBSIの被災地支援活動にご協力下さった皆さまにも、
心より感謝を申し上げます。

 認定NPO法人 サイド・バイ・サイド・インターナショナル一同より

(写真は、気仙沼市本吉の水仙)

 

2012年2月 日本の医療グループ寄贈車両とポチェントン救急隊の活躍

交通事故の重傷者をリレー搬送

  –SBSIカンボジア事務所からの報告 

2012/02/19

2月18日(土)の夜9時頃、SBSIのピーター・リー所長が国道4号線をプノンペンからグラフィス診療所へ向けて走行中、48キロ地点で交通事故に遭遇しました。

コンテナを積んだトラックがバイクをはね、バイクの運転手が全身打撲の重傷でした。すぐにプノンペンの救急コールセンターへ連絡し、救急車を要請。プノンペンのポチェントン公立病院の救急隊が直ちに出動してくれました。
ですが、現場はプノンペンから48キロも離れており、被害者は重傷です。ピーター所長が現場ですぐに被害者の状況を観察し、自身が運転する車両でプノンペンへ向けて患者の搬送を開始しました。

現在カンボジアでは救急システム構築事業が大々的に実施されていますが、まだまだ首都を離れると救急車が迅速には現場に行きつけない現実があります。その ため、SBSIの多くの関係機関など(基本的な一次救命処置などの訓練を習得していることが条件)が、日ごろからいつでも緊急搬送、緊急走行ができるよ う、担架と応急処置セットを搭載し、サイレンを付けた車両を運転しています。
ピーター所長が運転する緊急車両と、プノンペンから来たポチェントン救急隊の車両は約32キロ地点で落ち合い、被害者は無事、ポチェントン救急隊の車両で国立カルメット病院へ搬送され、現在治療を受けています。

今回活躍した緊急車両は、千葉県を中心に活動されているデンタルサポートグループ(郁栄会)様 から寄贈された車両です。今回の被害者は非常に重傷で、搬送は酸素を吸入しながらの搬送となりました。もしもデンタルサポートグループ様の車両が現場を通 りかかっていなかったら、被害者は助からなかったかもしれません。デンタルサポートグループ様からのご支援に改めて感謝申し上げます。
また、通報を受けて迅速に対応してくれたポチェントン公立病院の救急隊の存在も忘れてはなりません。到着したポチェントン隊の車両には、決められた3名の隊員がきっちり乗っていました。

カンボジアの救急システムはまだまだ発展途上であることは事実ですが、確実に発展していることを確認できた夜でした。
被害者の方の一日も早いご回復をお祈りいたします。

写真は、傷病者をリレー搬送した日本からの車両とカルメット病院救急車)

 DSG vehicle1  DSGvehicle2  Calmette&DSGvehicle