グラフィス診療所へ医療機器の寄贈

国際ロータリー第2660地区(大阪)より

2011/02/01

V-Scan大阪の国際ロータリー第2660地区か ら、グラフィス診療所のために、超小型超音波機器(V-Scan 写真左)がサイド・バイ・サイド・インターナショナルに寄贈されることになりました。 SBSI佐々木理事長、及び来日中のSBSIカンボジア事務所所長ピーター・リー、所長補佐の西口三千恵が、大阪での寄贈式(写真右下)に出席しました。 同地区からは、診療所のために自動血球計数装置(KX-21)も寄贈されています。  寄贈式の前にはV-Scanに関する講習も実施され、診療所での診療や移動診療活動にも、大いに役立つことでしょう。

寄贈式では、このプロジェクトに参加くださっている15クラブの代表の方々に、グラフィス診療所の所長でもあるピ2011012660osakaRCーター・リーが、建設から開所後の診察活動までを報告。また、昨年11月22日の水祭り事故に際して2660地区がご支援くださった遺体袋と資金援助へのお礼を述べると共に、カンボジアにおける大災害の現状についても紹介しました。  リー所長及び西口所長補佐201101presentation2660は、継続して大阪に滞在し、大阪南茨木大阪大淀大阪ネクスト、大阪梅田の各ロータリークラブにてグラフィス診療所の活動とカンボジアの救急システム構築事業についてご説明しました。

その他のロータリークラブからの支援

2月14日には、東京で、佐々木理事長らと共に、昨年、二つの病院の救急隊訓練支援並びに救急用機材の寄贈をして下さった東京渋谷ロータリークラブのメンバーとも会合をしました。 大阪の八尾ロータリークラブも、昨年から、グラフィス診療所近くのプレイ・プロセッ学校改築事業を支援して下さっています。

既に多くのロータリアンが、実際にカンボジアの辺ぴな地域の診療所を訪問され、このような様々な貢献をしてくださっていることに感謝申し上げます。

2011年1月7日発生した悲惨な交通事故 2011年1月

			サイド・バイ・サイド・インターナショナルカンボジア事務所長
				 及びCDEP代表  ピーター・Z・リー

12:18 プロジェクトマネージャーから、国道4号線のグラフィス診療所(以下、GHC)から16キロ離れた地点で事故発生の通知を受ける。

12:49 GHCの主任医師から電話で、二名が負傷したが、応急処置によって容態は安定し、プノンペンの国立カルメット病院に搬送準備中であるとの報告 を聞く。SNCTCの医療スタッフ及び救急隊、31師団司令官と兵士達、軍警察、郡警察、地元警察が、救助協力や、交通整理などを申し出た。プロジェクト マネージャーによって、車両にまだ4人が閉じこめられているが、救助できないと報告を受ける。GHCの看護師やSNCTCの救助隊員から、この4人は死亡 していると知らされる。そこで、遺体袋を積んだ遺体搬送車を現場に向かわせるよう指示した。

13:26  現場に向かうため、プノンペンから国道4号線を走行。途中で二名の負傷者を乗せたグラフィス救急車に会う。

14:47 現場到着。直ちに、車両から遺体収容準備を開始。車両は大破していることから、二人が生存したのは、奇跡で ある。車両をロープで木に固定し、岩で車両の側面を固定。手動油圧ポンプを使い、カッターで車両を切断して、後部座席の3人の遺体の収容作業を進める。収 容したのは、幼い女児(後で2歳と判明)、十代の少女(娘)、そして母親。3人ともシートベルトは着用していなかった。男性運転手(父親)はシートベルト をしていた。運転席から遺体を収容するのは、さらに困難だったが、収容完了。遺留品も回収。

16:50 撤収開始。遺族から、遺体を葬式のために準備するために協力を要請されていたので、遺体を国立カルメット病院の遺体安置所に搬送開始。

18:30 同病院の遺体安置所に4人の遺体と共に到着。

19:15 遺体の準備が終了したので、葬式が行われる遺族の家に搬送。

これは、ご遺族のみならず、我々、救急隊にとっても、悲劇的な出来事だった。犠牲者は、我々の近い友人であり、協力者だったからだ。運転手(夫)は、救急 医療事業を熱心に支援してくれていた。日本から送られた緊急車両や救助機材の積まれたコンテナの通関という複雑なお役所業務を切り抜けるために尽力してく れた。実は、運転手の妻の義理の姉妹は日本人で、我々の友人であり、また以前に日本大使館に勤務しており、日本から送られた救急車の輸送協力にも携わった 人である。

この週末だけで、我々の知り合いや救急救助隊の親戚などが関係する大きな交通事故が4件もあった。
全く悲しく、悲劇としか言いようがないが、私はこれらの事故によって、このカンボジアにおいて、着実かつ組織的に、救急医療及び緊急災害管理システムを完成させるという決意をさらに堅くした。「他が生きるために」という米空軍救難隊のスローガンを思い出した。
我々は、「他が生きるために」働く。しかし、今回は良き友人であり、協力者であった人を失ってしまった。ご遺族の悲しみは、計り知れないことだろう。

(CDEPブログでの写真レポートはこちら

2011年1月7日 解放記念日の大事故

カンボジアでは、1月7日は、大勢の国民を虐殺したポルポト政権が崩壊したことを祝う解放記念日。しかし、その日、グラフィス診療所近くで重大事故が発生しました。
この日、正午頃、国道4号線を走行していた車が対向車と正面衝突しそうになり、互いにあわててハンドルを切ったところ、二台とも制御不能になって道路を飛び出しました。
2011107accident1その内の一台は8メートル下に転落、大破し、二人が奇跡的に助かったものの、4人は即死状態で、死亡したのは、大人二人と二歳の女児、十代の男子でした。もう一台の運転手は逃走した模様です。
助かった二名は、直ちにグラフィス診療所の医師が応急処置をして、首都プノンペンの国立カルメット病院に救急搬送しました。
この救急救助活動は、グラフィス診療所の医療スタッフ、SNCTC(国家テロ対策委員会)の医療スタッフや救助隊員、軍警察、郡警察などが協力。
車両が斜面に転落したことから遺体収容も困難を極めたが、油圧カッターなどを使用して、車両のドアを切断して遺体を収容しました。遺留品なども回収し、ご遺体と共に、ご遺族の家に搬送しました。
この救急救助活動の指揮を執ったサイド・バイ・サイド・インターナショナル カンボジア事務所長(CDEP代表)の詳しい報告はこちら

2010年12月21日 カンボジアに新生児用救急車が到着!

cambodia office & minibus ambulance2010年12月21日、株式会社商船三井様のCSR活動によって輸送ご支援いただいたコンテナ2基が、カンボジアで通関を終え、開封されました。今回は、新生児用救急車1台と活動支援車2台、医療資機材、東京通信機株式会社様からご寄贈頂いた無線機類が輸送されました。

サイド・バイ・サイド・インターナショナル(SBSI)のカンボジアにおける救急システム構築事業への支援は、現地の国際機関や団体からも認められつつあり、今回もコンテナが届いたプノンペンのドライポート職員たちは、非常に協力的に作業を進めてくれました。

コンテナ開封予定時刻である朝10時にドライポートに到着し、なんと待ち時間たった10分で開封!これは信じられない速さです。過去にはポートで何時間も 待たされた挙句、勤務時間が終わったから明日もう一度来てくれと言われたこともありました。日々の付き合いの積み重ねの大切さを、しみじみと感じた瞬間で した。

minibus out of container商船三井カンボジア事務所も全面的に協力され、開封の日は、Theany所長も直接立ち会われました。
多くの方々のご協力を得てカンボジアに届いた救急車は、現在SBSIカンボジア事務所で、整備中です。
ご寄贈頂いた無線機も、事務所で動作確認と、記録作業が進められています。後日、関係各所へ配布する予定です。

donation from tokyo tsushinki
(写真説明)

上:SBSIカンボジア事務所前に到着した救急車
右上:SBSI日本本部職員がコンテナに入れた(!)救急車を、取り出し作業中のカンボジア事務所職員。
左:無線機を確認する職員

(SBSIカンボジア事務所 西口所長補佐からの報告)

水祭り大事故について

水祭り大事故について カンボジア事務所からのご報告

2010年11月24日

今回の水祭りの事故は、ポルポトによる虐殺以降最悪の事態などと表現されてはいますが、事件に便乗した混乱(暴動など)はなく、表面的には町は通常の生活に戻ったように見えます。

これは、事故の際に公立の救急救助隊が迅速に対応し、行政区域を越えて全ての救急車が集まって、けが人と死亡者の搬送に当たったこと。また、日本を含め外 国からの専門家によってトリアージ方法なども過去に研修をした実績があり、大量死傷者ケースへの対処方法をある程度心得ていたこと。救急車だけでは対応で きない数の死人が出たと判明してからは、軍がトラックを出して早急な現場から病院までの死亡者の搬送を実施したこと。その活動をサポートすべく警察が非常 に協力的な対応を取ってくれたことがあると思います。政府が被害者を見捨てていないと一般市民が感じたことで、無用な暴動が避けられたのでしょう。

これは、これまでの救急救助システム構築事業において、省庁を超えて保健省、内務省、防衛省に連携が生まれていたことが、今回の大災害への対応に活かされたと言えるでしょう。

しかし、既存の連携だけでは、今回の大災害において物事はここまでうまく運びませんでした。外国からの支援が集まっていること。そしてその支援を有効に活かすべくできる限りの対策が採られていることが非常に大きいと思います。

協力関係にあるNGOでは、怪我をして入院している患者の食事支援としてアメリカから資金を得ましたが、その配布をどのようにしたら良いか?という相談を受けました。そのため、サイド・バイ・サイドからスタッフを派遣し、食料の配布作業を現在支援しているところです。

(サイド・バイ・サイド・インターナショナルカンボジア事務所 西口所長補佐)